
日本にはいつ頃やって来たの?どんな栄養があるの?
穀物の小さな粒に込められた秘密を知ろう
齋藤屋では現在愛鳥家の皆様に向け、セキセイインコ用の「いんこ」、カナリア用の「かなりあ」、文鳥用の「ぶんちょう」の3種類の餌をご用意しています。そしてこの3種類の餌ではひえやあわを始めとした、11種類の原料を使用しています。
鳥の餌には穀物や種子が使われているので名前は聞いたことがあるけれど、実際にそれらの穀物や種子がどこからやってきたのか、どんな栄養があるのか知らない…という方も多いのではないでしょうか?記念すべき齋藤屋ぶろぐの1記事目ではそんな方に向けて、齋藤屋の餌に使用している原料11種について簡単に説明していきます。

玄ひえ(玄稗)
ひえはイネ科ヒエ属の植物・ひえの種子です。原産は東アジアでその歴史は非常に古く、日本には縄文時代に中国から伝わり、それ以来食べ続けられてきたと考えられています。
ひえは名前の由来が「冷え」だといわれるほど寒さに強く、稲や麦が育てられない高地や寒冷地でも育てられる穀物です。また穂のままで保存しておくと長期間変質しない性質があることから、主食のほか不作や飢饉の時の食料となる救荒作物(きゅうこうさくもつ)としても利用されてきました。
ひえは栄養価が高く、白米と比べると食物繊維、ビタミン類(ビタミンB6・パントテン酸・ナイアシンなど)、ミネラル(マグネシウム、亜鉛など)が多く含まれています。
なお玄ひえの“玄”には玄米の“玄”と同じく、「精穀精製を行っていない」という意味が込められています。

玄あわ(玄粟)
あわはイネ科エノコログサ属の植物・あわの種子です。起源は中央から西アジアで、日本では縄文時代から栽培されていた、ひえと並んで日本最古の穀物だと考えられています。
あわの名前は「風味が淡いこと」に由来していて、クセがなくあっさりしていて食べやすいといわれています。あわには米と同じくモチ性とウルチ性があり、おこしやぜんざいといった菓子に利用する際はモチ性、米と混ぜて食べる際はウルチ性のあわが適しているといわれています。なおあわの野生種はエノコログサ、いわゆるネコジャラシではないかと考えられています。
あわもひえと同じく栄養価が高く、白米と比べると食物繊維、ビタミン(パントテン酸・ビタミンB1など)、ミネラル(鉄分・マグネシウムなど)が多く含まれています。

カナリアシード
(カナリーシード)
カナリアシードはその名前の通り、古くからカナリアをはじめとした鳥の餌として使われてきました。多くの鳥が好むことから餌として使われることが多いものの、一部の地域では雑穀としておかゆなどに混ぜて食べることもあるそうです。
カナリアシードは非常に栄養価が高く、特にたんぱく質と脂肪分が豊富だといわれています。

玄きび(玄黍)
きびはイネ科キビ属の植物・きびの種子で、起源は中央~東アジアだと考えられています。
きびの名前の由来は「黄実」で、見た目の色が黄色いことから名付けられたといわれています。なお桃太郎がおともの犬と猿、雉に与えた「きびだんご」はきびの粉で作った団子ですが、なぜ動物たちに与える物としてきびだんごが選ばれたのか、その理由ははっきりとわかっていないそうです。
きびは白米と比べると、食物繊維やミネラル(鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛など)が多く含まれています。

赤あわ(赤粟)
赤あわは名前の通り赤っぽい色をしたあわのことで、栄養価的には玄あわと大きな差はないと考えられています。
しかし私たちが食べる白米にも産地やブランドによって味の違いがあるように、赤あわと玄あわにも味の違いがあるようです。好みには個人差(個鳥差?)があるため、愛鳥の目の前に赤あわと玄あわを並べて置いてみると、どちらが好きかわかって面白いかもしれません。

赤きび(赤黍)
赤きびは赤っぽい色をしたきびのことで、栄養価的には玄きびと大きな差はないと考えられています。
ただし赤あわと玄きびと同じように、赤きびと玄きびは味が違うといわれています。日頃から愛鳥が食事をする場面を観察して好みを把握しておくと、体調不良や餌の食べが悪くなった時に役立つかもしれません。

えん麦(燕麦)
えん麦はイネ科カラスムギ属の植物・えん麦の種子です。起源は中央アジアで、別名であるオーツ麦・オート麦・マカラス麦と呼ばれることもあります。
えん麦という名前の由来は小穂の包穎(ほうえい)の形で、その形がツバメの翼に似ていることから名付けられたといわれています。えん麦を食べやすく加工したものは「オートミール」と呼ばれていて、水や牛乳で煮た「ポリッジ」と呼ばれるお粥状のオートミールがアメリカやイギリスにおける朝食の定番メニューの1つになっています。
オートミールは白米に比べて食物繊維が多くて糖質が少ないため、健康的なダイエット食品として注目を集めています。

青米
(あおごめ、あおまい)
青米はイネ科イネ属の植物・稲の種子です。稲の由来や歴史にはいくつもの説がありますが、起源は恐らく中国なのではないかと考えられています。
青米は名前の通り、青っぽい色をした米のことです。稲を田んぼに植えた後1番目に実り、収穫・精米した米は私たちの主食・白米として利用されていますが、その後2番目に実って収穫された米は青米と呼ばれています。青米は白米よりも水分が多いため柔らかく、独特な風味を持っています。

なたね(菜種)
なたねはアブラナ科アブラナ属の植物・アブラナの種子です。起源は地中海の沿岸で、日本には奈良時代に中国から伝わったと考えられています。
かつてなたねからとれる「なたね油」は行燈に火を灯す、明かり用の油として使われていました。そのため江戸時代には幕府が菜種の栽培を推奨し、全国各地で盛んに作られていたそうです。現在は食用油として使われることがほとんどで、種類によってサラダ油やキャノーラ油とも呼ばれ、さまざまな料理に使われています。
なたねは栄養価が高く、特に脂質とたんぱく質が豊富に含まれているといわれています。

えごま(荏胡麻)
えごまはシソ科シソ属の植物・えごまの種子です。起源は東南アジアであり、古くからアジアの各地で栽培されてきました。
日本では縄文時代から食べられてきたと考えられていて、現在は主に福島県や宮城県などで栽培されています。特に生産量が多い福島県ではえごまのことを「じゅうねん」と呼び、えごまと味噌・砂糖・しょう油を混ぜた「じゅうねん味噌」がふるさとの味として親しまれているそうです。
えごまの種子からとれる「えごま油」はオメガ3脂肪酸の1つ・α-リノレン酸を豊富に含み、健康に良い食用油だと注目されています。

ニガシード
(ニガーシード)
ニガシードはキク科キバナタカサブロウ属の植物・キバナタカサブロウ(別名:ヌグ)の種子です。起源はアフリカで、主にエチオピアやインドで食用や飼料用として栽培されています。
ニガシードから取れるニガシード油は口当たりがよい高級油脂として、揚げ物などの料理に使われています。現地ではニガシード油を明かり用として使うほか、火傷などの治療にも使っているそうです。
ニガシードは栄養価が高く、特に脂質とたんぱく質が豊富に含まれているため、特にカナリアの餌によく配合されています。しかし実は他のシードと比べると好き嫌いが分かれやすく、よく食べる鳥と見向きもしない鳥に分かれるという一面があるそうです。
今回の記事では齋藤屋の餌に使用している原料11種について説明してきましたが、いかがでしたか?
日頃何気なく目にしているものや使っているものでも、1つ1つ注目していくと意外と知らないことや面白い歴史が詰まっているものですね。ボリュームのある記事になってしまいましたが、少しでも「そうなんだ!」「面白いなぁ」と思って頂けたら嬉しいです。
齋藤屋では日々鳥たちの健康を考え、より品質が良く、栄養価が高い原料を求め、世界中から高品質な原料を探し集めています。長い歴史とこだわりを詰め込んだ、齋藤屋の餌シリーズの詳細はこちらから。
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